千葉とか東京って春に雪が降るんですね。受験生とか毎年困ってます。生まれ育った瀬戸内海沿岸では信じられない。そう言えば「なごり雪」という歌がありましたが僕たちには完全にファンタジー。消えて行く青春と幼い恋の単なるメタファー(難しい言葉を使ってしまった…)有り得ない世界でした。そう、春の雪はすぐに溶けるんです。存在すること自体が夢でありマボロシなんです。
ということで、船橋最強の読書コラム第13弾は三島由紀夫「春の雪」。華族(戦前の日本の貴族ですね)の美男、美女の悲恋を描いた小説で映画にもなりましたね。「豊饒の海」という三島の遺作シリーズの第一巻です。最後の第四巻「天人五衰」を書き終えて筆を置き、そのまま市ヶ谷へ向かったそうです。(締切は守ったわけで…。)この本には謎があるんです。三輪太郎が「夢の折り返し点」という論文でそれを明らかにしています。「作品の初めに寓話が書いてある。」旅の坊主が野宿の夜にのどが渇き、水を飲みます。その水はこの世のものとは思えないほど旨い。この後は結構怖い…。(気になる人は情報ステーションの図書館か公立図書館で借りるか、正々堂々と本屋で買いましょう。)この話が「豊饒の海」全体の、いや、世界全体の謎を解くカギなんです。今頃になって、こういう読み方もあるんだということに凄く驚いた次第であります。