やばいです。コロナ第8波が来てるようですが…。そんな中で「新幹線で本でも読もうと思うが難しいのは嫌だ」というワガママな状況があるならば、それはもうミステリーで決まりでしょ。いや、でも「切られた指」が送られてきたりするのはヤバいですよね。それから、なんか背景とかが複雑な歴史ミステリーもいかがなものかと。直木賞を獲ったけど「黒牢城」なんて取っつきにくいよね。(知り合いのKさん、挫折してるし…。)
ということで、船橋最強の読書コラム第九弾は米澤穂信「氷菓」です。「黒牢城」と同じ作者ですが、全然大丈夫。この作品の舞台は現代の普通の高校で殺人事件も起こりません。指を送られたりもしません。難しい背景情報も不要です。日常生活に起こる小さな違和感の正体を面倒くさがり屋の主人公が丁寧に鮮やかに解明していきます。今この時、重要な地位で戦争を指揮したりしない普通の人々が、本当の「生活」ってやつを作り上げているのです。そこにも「事件」が起きて、それぞれ悩み、切り抜け、もしくは挫折します。何も起きないところに何かを起こす天才ヨネザワの本領は初期の学園ミステリーでいかんなく発揮されています。「界隈(?)」では有名な「古典部シリーズ」の開幕です。