廣瀬と申します。情報ステーションの理事です。今回から本の紹介コラムを書いていきます。(恥ずかしながら船橋最強の読書コラムを目指して…。)
最初の本はレイ・ブラッドベリの「たんぽぽのお酒」。日本のたんぽぽは春の花なので、この本でいいかなと思いまして?
でも米国イリノイ州では夏に咲くんです。たんぽぽ満開の平原を12歳の少年ダグラスはミツバチ、草花、森、風、テニスシューズと一体化して疾走します。靴屋の主人は「何でもなりたいものになれるよ、坊や」と少年に語り掛けます。ダグラスの目の前にあるのは予測不能でありながらも喜びに満ちた世界です。それは12歳の夏だけの魔法であり、彼以外の「老人」たちには失われた時空間です。「老人は過去にけっして子供ではなかった!」12歳の夏は誰にとっても消え去るもの。そんなことを覚えてるのはこの世でブラッドベリだけなんでしょう。疫病と戦争に苛まれるこの世界に、黄金色に輝くたんぽぽの花びらをブワーッとまき散らしたいものだと昔は12歳だったはずの老人はしみじみと思うのです。
 

 

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